目次

最近では、美容関連の報誌やサイトなどで「バストと姿勢には大きな関わりがある」という記事が多く掲載されていることもあり、バストアップを目指している方のなかには、姿勢を意識している方も多くいらっしゃるようです。
しかし、猫背や前かがみの姿勢ばかりを気にして、反り腰がバストに影響していることに気づいていない方は少なくありません。
反り腰は、一見すると背筋が伸びているように見えます。しかし、腰が反り返った姿勢は胸周りの筋肉の緊張や血行不良を引き起こすため、バストアップの妨げになっている可能性があります。特に、普段デスクワークしている方や運動不足の方は反り腰になりやすく注意が必要です。
この記事では、反り腰がバストアップに与える影響やその原因について解説していきます。さらに、反り腰のチェック方法や改善方法についても紹介しますので、バストアップを目指している方はぜひ試してみてください。
反り腰とは

反り腰は医学的には「骨盤前傾」と呼ばれており、骨盤が正常な位置よりも過度に前方に傾き、腰椎が反り返っている状態を指します。骨盤が前傾することで、骨格のゆがみを引き起こす姿勢不良の症状のひとつです。
反り腰の特徴
反り腰は、骨盤が前傾することで骨格のバランスが崩れるため、見た目の変化はもちろん、体にさまざまな不調が生じます。
反り腰による見た目の特徴と、体にあらわれる代表的な不調の症状は以下のとおりです。
【見た目の特徴】
- 下腹がぽっこりと出やすい
- お尻が後ろに突き出して見える
- 不自然に胸元が前に出ている
- スタイルが悪く見える
【体の不調】
- 腰痛
- 股関節痛
- 肩こり・首こり
- 膝痛
- 座骨神経痛
- 便秘・消化不良
反り腰はバストアップに悪影響がある?

反り腰になると体全体のバランスが崩れてしまうため、バスト周りの筋肉や胸郭の働きを妨げてバストアップに悪影響を与えます。ここでは、バストアップを妨げる理由について詳しくみていきましょう。
バストアップを妨げる理由
反り腰がバストアップを妨げる理由は、骨盤の前傾によって胸郭が広がってしまうことにあります。胸郭とは、肋骨や胸骨・胸椎などが組み合わさってできた胸周りの骨の構造のことです。
この胸郭が広がると、バストの土台となる大胸筋や小胸筋といった胸周りの筋肉が正しく動かなくなってしまいます。筋肉が適切に機能しないことで筋力が徐々に衰え、バストをしっかりと支えられなくなります。
その結果、バストの下垂や離れ胸といった症状が起こり、全体的なバストのボリュームダウンを招いてしまうのです。
反り腰になる原因

反り腰を引き起こす要因は、普段の生活のなかに潜んでいます。そのため、知らず知らずのうちに、反り腰が進行してしまう可能性があります。
ここでは、反り腰になるおもな原因について解説していきます。
筋力が低下する
正しい姿勢を保つには、ある程度の筋力が必要です。運動不足や加齢によって筋力が低下すると、骨盤を支える力が弱くなります。その結果、骨盤を後ろに倒す力も低下して骨盤が前に傾くため、自然と反り腰の状態になってしまうのです。
体重が増加する
体重が増えることも反り腰の原因となります。特に、おなか周りに脂肪が多くつくと重心が前に移動するため、バランスを取ろうとして腰を反らせる姿勢になってしまうのです。また、妊娠などで急激におなかが大きくなると反り腰になりやすく、出産後に体重が戻っても反り腰だけが残ってしまうことがあります。
悪い姿勢で座っている
長時間のデスクワークは、反り腰を招く要因のひとつです。長い時間椅子に座っていると、背中が丸まったり背もたれに寄りかかったりして姿勢が崩れやすくなります。なかでも、椅子に浅く座る癖がある方は骨盤が前にすべって背中に負担がかかり、反り腰になりやすい傾向があります。
ハイヒールを着用している
ハイヒールを履いていると、つま先立ちをしているような状態になります。そのため、重心が前方に移動し、バランスを保とうとして反り腰になってしまいます。一般的に、腰への負担が少ないのは3〜5cmまでのヒールといわれており、かかとにクッション性があると腰への負担をより軽減することができます。
前傾姿勢で歩いている
前傾姿勢で歩いている方も、反り腰になっている可能性があります。特に、スマホを見ながら歩いている方は前傾姿勢を補おうとするため、無意識に腰を反らせてしまいます。
また、歩き方も影響します。つま先から着地する歩き方は前傾姿勢につながりやすいため、かかとから着地する歩き方を意識することが大切です。
反り腰のチェック方法

バストアップを目指している方は、まずは反り腰になっているかチェックしてみましょう。
立った状態でおこなう方法と仰向けに寝た状態でおこなう方法を紹介しますので、ご自身のやりやすい方法で試してみてください。
【立った状態のチェック法】
- つま先を軽く開き、壁にかかとをつけてまっすぐに立つ
- 壁と腰の間に手のひらを入れ、隙間がどのくらいあるか確認する
【仰向け状態のチェック法】
- 両手を体に沿わせた状態で仰向けに寝る
- 腰と床(ベッド)の間に手のひらを入れ、隙間がどのくらいあるか確認する
どちらの方法も、手のひら1枚分以上の隙間があると反り腰になっている可能性があります。反り腰の症状の程度の目安は、おおむね以下のとおりです。
- 手のひら1枚分=理想的
- 手のひら2枚分=軽度
- 手のひら3枚分=中度
- 手のひら4枚分=重度
反り腰を改善するには?

反り腰を改善するには、原因となっている生活習慣を見直すことが大切です。また、エクササイズを取り入れることで正しい姿勢を保ちやすくなります。ここからは、普段の生活で実践できる反り腰の改善方法を4つ紹介していきます。
ストレッチやトレーニングを習慣化する
ストレッチやトレーニングを習慣化して、体の凝りをほぐしたり筋肉を鍛えたりすることが重要です。ストレッチは、血行を促して筋肉の柔軟性を高める効果に期待できます。一方でトレーニングは、筋力を強化して骨盤や背骨を正しい位置に整えるサポートをします。
ストレッチとトレーニングを組み合わせると、より反り腰の改善に効果的です。朝や就寝前、仕事の合間など、ご自身のライフスタイルに合ったタイミングでおこないましょう。
体に合った椅子に座る
体に合った椅子に座ることは、正しい座り方を保ち、反り腰を改善することにつながります。まず、座った状態で足裏全体を床につけます。
膝が90度になる位置に置き、つま先を正面に向けます。次に、背もたれに近づくように椅子に深く腰掛け、骨盤を立てて座ります。
下腹部に力が入るように意識すると骨盤が立ち、腰への負担が軽減されます。浅く座ったり背もたれに寄りかかったりすると反り腰になりやすいので注意しましょう。最後にあごを引き、背筋をまっすぐ伸ばすと自然と正しい姿勢になります。
ハイヒールの長時間着用を避ける
ハイヒールの長時間着用はどうしても腰に負担がかかります。できるだけ高いヒールを避けるのがおすすめです。しかし、仕事やフォーマルシーンなどで、どうしてもハイヒールを履かなければいけないときもあるでしょう。
その場合は、移動時にスニーカーを使用したり、休憩時にスリッパで過ごしたりすると、足と腰への負担を軽減させられます。また足裏への衝撃を和らげるため、中敷きを使用するのも効果的です。
正しい立ち方や歩き方を身につける
正しい立ち方や歩き方を身につけることも、反り腰の改善に役立ちます。正しい立ち方とは、骨盤がまっすぐになっている状態で、横から見ると背骨がゆるやかなS字カーブを描いている姿勢です。また、正しい歩き方とは、胸を張り過ぎることなく上半身をまっすぐに保った状態で歩くことを指します。
以下は、体への負担が少ない正しい立ち方と歩き方のコツです。毎日意識して続けることで反り腰になるのを防ぎ、美しいバストラインを維持することにもつながります。
【正しい立ち方のコツ】
- 耳・肩・腰・くるぶしが一直線になるように背筋を伸ばす
- 背中と首の力を抜き、背骨が自然なS字カーブになるようにする
- あごは軽く引く(視線が下がらない程度)
- 膝はまっすぐに伸ばす
- 両足を肩幅よりもやや狭い位置に開く
- つま先はまっすぐ前方に向ける
- 足裏全体で地面を踏むように立つ
- かかとと首を結ぶラインが直線になるようにする
【正しい歩き方のコツ】
- 耳・肩・腰・くるぶしが一直線になるように背筋を伸ばす
- 視線は15mくらい先を見るように意識する
- 太ももをあげながらつま先を上げ、かかとから着地するようにおろす
- 股関節を後ろに伸ばして、地面を後ろに蹴り出すように歩く
- 肘を軽く曲げ、手は前後に大きく腕を振る
反り腰の改善とバストアップに効果的なストレッチ

反り腰が改善されると胸の位置も引き上がり、バストアップしやすくなります。
ここでは、自宅で反り腰を改善する3種類のストレッチ法を紹介します。
背骨に働きかけるストレッチ
- うつ伏せ状態になり、肘を床に垂直につけ手を前に伸ばす
(手のひらは下に向ける) - 足の裏を天井に向ける
- 膝を中心にかかとで円を描くようにまわす
(内まわし・外まわし、各20回ずつおこなう) - 仰向けになり、ひざを立てる
- 両手の握りこぶしを頭蓋骨の下に入れる
- 拳で首の根物をグリグリほぐしながら、あごを上下に20往復させる
- 拳で首の根物をグリグリほぐしながら、あごを左右に20往復させる
- 仰向けの状態で足を抱えて腰を丸める
- そのまま呼吸をしながら30秒間キープする
ドローイング
ドローイングは腹式呼吸をおこなうストレッチで、体の軸や筋肉に働きかけます。
ここでは、3つの体勢でおこなうドローイングを紹介します。
寝ておこなうドローイング
- 仰向けになり、両手で肋骨を軽くつまむ
- 息をしっかり吸い込む
(下腹部に届けるイメージで) - 次に、空気をゆっくり吐きながらおなかをへこます
- 下腹部に手をあて、そのまま5秒間キープする
※2~4を3セットを目安におこなう
椅子に座ってドローイング
- 椅子に浅く腰かけ、骨盤を立てて背筋をまっすぐ伸ばす
- 腹式呼吸を数回おこなう
- おなかをへこませながら息を吐く
- おなかがへこんだ状態のまま、腹式呼吸を30秒間繰り返す
- 息を吸いながら、おなかをふくらませる
※3~5を3セットを目安におこなう
立った状態でおこなうドローイング
- 足を肩幅程度に開き、楽な姿勢で立つ
- 背筋を伸ばし腹式呼吸を数回おこなう
- おなかをへこませながら息を吐く
- おなかがへこんだ状態のまま、腹式呼吸を30秒間繰り返す
- 息を吸いながら、おなかをふくらませる
※3~5を3セットを目安におこなう
キャットバッグ
- 両手、両膝を床につけて四つん這いにある
- 手を肩の真下につく
- 股関節の真下に膝をつき、足を肩幅程度に開く
- 息を吸って、吐くと同時に背中をゆっくり丸める
- 息を吸いながらゆっくり背中を反らす
※4~5を10回繰り返す
肘と膝が曲がらないように注意し、背骨をゆっくり動かすようにしましょう。
反り腰の改善とバストアップに効果的なトレーニング

姿勢を支えるには筋力の強化が欠かせません。
ここでは、筋肉や体幹を強くするトレーニングを紹介します。バストアップを目指す方は、無理なく続けられるトレーニングからはじめてみましょう。
腹筋
- 仰向けになり、膝を90度に曲げる
- 片足ずつ遠くに伸ばす(20秒間おこなう)
- 左膝を立て、右足をまっすぐ伸ばして小さく円を描くように20秒間動かす
- 左足も同様におこなう
- 両腕で支えるように上体を起こし、両足を遠くに伸ばして20秒間キープする
- そのまま、足を交互に遠くに伸ばす(20秒間おこなう)
プランク
- うつ伏せ状態になり、肩の真下に肘をつく
- 腰を浮かせてつま先を立て、頭から足までまっすぐになるように伸ばす
- そのまま30秒間キープする
※3セットを目安におこなう
スロースクワット
スロースクワットは、おしりや太ももの筋肉を強化することができます。初心者には「ハンズフリースクワット」と「ワイドスクワット」、中・上級者には「スプリットスクワット」がおすすめです。
ハンズフリースクワット
- 足を肩幅より広めに開き、手はまっすぐ伸ばす
- つま先を15度外側に向ける
- 背筋を伸ばし、5秒かけてゆっくりとしゃがむ(膝がつま先より前に出ないようにおこなう)
- 太ももが床と平行になったら、5秒かけてゆっくり立ち上がる
※10回を1セットとして、3セットを目安におこなう
ワイドスクワット
- 足を肩幅の1.5倍に開き、手をまっすぐ前に伸ばす
- つま先を外側に45度開く
- 背筋を伸ばし、5秒かけてゆっくりしゃがむ
(つま先と膝が同じ角度を向くようにしておこなう) - 太ももが床と平行になったら、5秒かけてゆっくり立ち上がる
※10回を1セットとして、3セットを目安におこなう
スプリットスクワット
- アキレス腱を伸ばすように足を前後に広げる
- 足幅は窮屈にならない程度に広げておく
- 両手を腰に当て、体を垂直に下ろすようにして5秒かけてゆっくりしゃがむ
- 前側に出した足の太もものが床と平行になったら、5秒かけてゆっくり立ち上がる
- 3~4を10回おこなう
- 反対側の足も同様におこなう
反り腰の改善に役立つアイテム

反り腰には、日中はもちろん寝ているときのケアも大切です。
ここでは、反り腰を軽減するのに効果的なサポートアイテムを2つ紹介します。手軽に入手できるアイテムですので、ぜひ反り腰の改善に役立ててください。
腰枕
腰枕は就寝中に使用するアイテムです。反り腰は仰向けになると寝具との間に隙間ができるため、腰に負担がかかってしまいます。
特に、反り腰が中度・重度になると隙間が大きくなり、より腰への負担が強くなります。腰枕を使用すると背骨が正常なカーブに近づくため、腰の痛みや反り腰の悪化を防ぐことができます。硬さや形状など、体形に合ったものを選ぶとよいでしょう。
スマートヒップベルト
スマートヒップベルトは、反り腰に対応した骨盤ベルトです。前に傾いた骨盤を、おなか側とお尻側から同時に圧をかけて骨盤が起き上がるように設計されています。
なかでも、長時間立ち仕事をしている方におすすめのアイテムです。薄い滑り止め素材で作られており、服の下に装着しても目立ちにくいため、周りの人に気づかれることなく使用できます。
まとめ

今回の記事では、反り腰がバストアップに影響を与える理由や改善方法について解説してきました。
反り腰になると骨盤がゆがみ、バストアップを妨げるさまざまな症状を引き起こします。
しかし、反り腰は意外に気がつかないものです。特に、常に高いヒールを履いている方や長時間のデスクワークが多い方は前傾姿勢になりやすく、知らず知らずのうちに反り腰になっているかもしれません。まずは、ご自身の姿勢の状態をチェックしましょう。
反り腰は、症状が軽いうちに対処することで短期間での改善が期待できます。今回紹介したストレッチやトレーニングをおこなうことも、反り腰の改善には効果的です。毎日の継続的なケアで、美しい姿勢と理想のバストラインを手に入れてください。