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卵巣から分泌される女性ホルモンは、バストの発達や丸みのある体型、ハリのあるつややかな肌など美容に深く関わっています。では、女性ホルモンを増やせばバストアップを実現できるのでしょうか。
本記事では、女性ホルモンとバストの関係や、女性ホルモンを増やす方法について解説していきます。女性ホルモンの働きを助ける食べものも紹介しますので、ふっくらとした美しいバストを目指したい方はぜひ参考にしてください。
女性ホルモンを増やせばバストアップ効果が期待できる
バストアップを目指すためには、乳腺(出産時に母乳を分泌する器官)を発達させる必要があります。乳腺は女性ホルモンである「エストロゲン」と「プロゲステロン」の働きによって発達するため、女性ホルモンを増やすことでバストアップが期待できます。なお、バストの膨らみの大部分は脂肪でできていますが、脂肪を多く摂取したからといってすべてが胸に行き渡るわけではありません。
バスト内の脂肪には乳腺を守る役割があり、乳腺を包み込むように存在しています。そのため、乳腺が発達すれば、乳腺を守るために多くの脂肪がバストに振り分けられるようになるのです。
女性ホルモンのひとつである「エストロゲン」は卵胞ホルモンとも呼ばれ、生理終了後から排卵日にかけて多く分泌されます。一方「プロゲステロン」は黄体ホルモンとも呼ばれ、排卵後から次の生理までの期間に分泌量が増加します。卵巣内で作られるエストロゲン・プロゲステロンの分泌を妨げないことが、バストアップにつながるというわけです。
女性ホルモンの分泌量が減る原因
2種類の女性ホルモン「エストロゲン」と「プロゲステロン」は、加齢とともに分泌量が低下します。特に、エストロゲンの分泌量は年齢による影響が大きく、20代半ばから30代前半にピークを迎えたあと、40〜50代になると急激に減少します。そして、50歳前後でエストロゲンの分泌が止まると閉経が起こります。
女性ホルモンの分泌量が減る原因には、加齢だけではなくストレスも大きく関わっています。精神的なストレスはもちろん、睡眠不足や不規則な食生活、喫煙など生活習慣の乱れによる身体的なストレスも影響します。
また、生理不順がみられる場合は、ホルモンバランスが乱れている可能性があります。生活習慣を見直しても改善しない場合は、病気が隠れている恐れもあるため、できるだけ早めに婦人科へ相談しましょう。
女性ホルモンを増やす方法
生活習慣によって女性ホルモンの分泌が減少している場合、日々の生活を見直すことで改善が期待できます。ここでは、ホルモンバランスを整えるために日常生活で実践できるケアを紹介していきます。
良質な睡眠をとる
女性ホルモンは卵巣から分泌されますが、卵巣に指令を出しているのは脳の視床下部や下垂体という部位です。睡眠不足が続いたり睡眠の質が低下したりすると、脳の機能が弱まりホルモン分泌にも影響を与えてしまいます。
一日に必要な睡眠時間は、年齢や季節、個人によって異なりますが、成人の場合は6~8時間が適正であると考えられています。少なくとも6時間以上の睡眠時間を確保しましょう。
睡眠の質を上げるためには、就寝の約1~2時間前にぬるめのお湯にゆっくり浸かり、身体を温めると効果的です。また、デジタル機器が発するブルーライトは体内時計に影響を与えてしまうため、寝室にはスマートフォンを持ち込まず、できるだけ暗くして眠りましょう。
ストレスを適度に発散させる
前述のとおり、女性ホルモンの分泌量は脳が調整しており、足りないときは分泌を促し、多すぎるときは分泌を抑えるように指令を出しています。ところが、脳の視床下部はストレスの影響を受けやすく、働きが弱まると卵巣への指令をうまく出せなくなります。
そのため、女性ホルモンの正常な分泌を促すためには、なるべくストレスをため込まないことが大切です。ストレスをゼロにすることは難しいかもしれませんが、趣味や運動などリフレッシュできる時間を確保し、適度にストレスを発散させましょう。
飲酒・喫煙を控える
ホルモンバランスを整えるには、飲酒や喫煙を控えることも大切です。長期間にわたって過度な飲酒を続けると、女性ホルモンの分泌を妨げることがわかっています。女性ホルモンが正常に分泌されないと、バストアップが見込めないだけではなく、生理不順や無排卵などを引き起こすリスクもあるため注意が必要です。
また、タバコに含まれるニコチンや一酸化炭素などの物質は、女性ホルモンの分泌に悪影響を与えます。ニコチンは卵巣の血流を減少させ、一酸化炭素は酸素欠乏を引き起こすことで女性ホルモンを作るための酵素の働きを弱めてしまいます。タバコによって肌の新陳代謝が阻害されるとバストが縮んでしまう可能性もあるため、できるだけ禁煙することをおすすめします。
適度な運動をする
女性ホルモンの分泌を促すには、適度な運動をすることも効果的です。日常的に運動することで血行が促進され、女性ホルモンを分泌する「卵巣」や卵巣へ司令を送る脳の「視床下部」に十分な栄養や酸素が行きわたります。
その結果、ホルモンバランスが整いやすくなるのです。ウォーキングやストレッチ・ヨガなど、無理なく続けられる有酸素運動を取り入れてみましょう。
栄養バランスの良い食事をとる
1日3食、栄養バランスの良い食事を決まった時間にとることで、女性ホルモンがスムーズに分泌されます。ごはんや麺類などの主食、肉や魚などのタンパク質を中心とした主菜、野菜や汁物などの副菜を組み合わせ、身体に必要な栄養をバランスよく摂取しましょう。
女性ホルモンの働きを助ける栄養素
特定の食べ物を摂取するだけでは、女性ホルモン自体が増えることはありません。しかし、健康的な食事によって身体の調子を整え、女性ホルモンのスムーズな分泌を促すことは可能です。ここでは、女性ホルモンの分泌をサポートする栄養素を紹介していきます。
大豆イソフラボン
大豆イソフラボンは、女性ホルモン「エストロゲン」と分子構造が似ており、体内で同じような働きをしてくれます。大豆イソフラボンは豆腐・納豆などの大豆製品に豊富に含まれているので、積極的に取り入れましょう。
ただし、大豆イソフラボンを過度に摂取すると、ホルモンバランスが乱れてしまうことがあるため注意が必要です。通常の食生活で大豆イソフラボンを摂りすぎる心配はありませんが、サプリメントを利用する場合は「1日あたり70~75mgまで」を意識しましょう。
参考:食品安全委員会「大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&A」
ボロン(ホウ素)
ボロン(ホウ素)はミネラルの一種で、女性ホルモン「エストロゲン」の分泌を活性化したり、血液中のエストロゲンの濃度を高めたりする作用があります。ボロンは、りんご・ぶどう・梨などの果物類、キャベツ・ブロッコリーなどの野菜類のほか、アーモンド・ピーナッツなどのナッツ類にも多く含まれています。なお、ボロンは熱や酸化に弱いため、生の状態で新鮮なうちに食べるのがポイントです。
タンパク質
タンパク質には、女性ホルモンのもととなるコレステロールを補う作用があります。タンパク質には、豆腐・納豆などの大豆製品に豊富な「植物性タンパク質」と肉・魚・卵・乳製品などに多く含まれる「動物性タンパク質」の2種類があります。女性ホルモンの分泌を促すには、植物性タンパク質と動物性タンパク質の両方をバランスよく摂取するのが理想です。
アミノ酸
食事から摂取したタンパク質は、体内の酵素によって20種類のアミノ酸に分解されたあと、再びタンパク質に組み替えられます。しかし、どれかひとつでもアミノ酸が欠けると、タンパク質を合成することができません。そのため、効率よくタンパク質を身体に取り込むためには、アミノ酸も意識して摂取することが重要です。
特に、体内で合成できない「必須アミノ酸」は日々の食事から摂取しなければなりませんが、1日3食しっかり食事をとっていれば不足することはないとされています。必須アミノ酸は、卵・肉類・牛乳などに多く含まれているため、不足している場合は意識して取り入れましょう。
ビタミンE
ビタミンEには、女性ホルモンの分泌を調整したり血行を促進したりする作用があります。アーモンドなどのナッツ類や、西洋かぼちゃ・アボガド・モロヘイヤなどの野菜類などに豊富に含まれます。ビタミンEは油脂と組み合わせることで吸収が高まるため、油と一緒に調理したり、乳製品や肉・魚など脂質の多い食べ物と組み合わせたりするのがおすすめです。
ビタミンC
ビタミンCには、ストレスに対処するために働く「抗ストレスホルモン」の分泌や調整を助ける働きがあり、女性ホルモンのバランスも整えてくれる可能性があります。ビタミンCは、キウイやイチゴ・赤パプリカ・キャベツ・ブロッコリーなどに含まれています。
ただし、ビタミンCは水溶性のため、一度にたくさん摂っても尿と一緒に排泄されてしまいます。そのため、できるだけ毎食にわけて摂取するのがおすすめです。
バストダウンを予防する方法
女性ホルモンを促す生活習慣を意識していても、知らず知らずのうちに「バストが小さくなる行動」をとっていると、バストアップが期待できなくなってしまいます。ここでは、バストダウンを予防する方法を紹介していきます。
就寝時はナイトブラを着用する
ナイトブラ自体にバストを大きくする効果はありませんが、寝ている間に流れやすいバストを本来の位置にキープしてくれる役割があります。胸の形を保持するクーパー靭帯(じんたい)という組織は、一度損傷すると元に戻すことができません。就寝中は寝返りを打ったり横向きになったりしてバストが動きやすいため、ナイトブラでやさしく支えることで、型崩れや下垂の予防につながります。
正しい姿勢を心がける
バストダウンを防ぐには、正しい姿勢を心がけることも重要です。猫背の姿勢を続けていると、バストが下に垂れるような状態になり、バストラインに影響する可能性があります。
特に、スマートフォンやパソコンの操作中は無意識のうちに猫背になりやすく、胸を支えている大胸筋も衰えてしまいます。バストアップのためには、日頃から背筋を伸ばして正しい姿勢を意識し、バストを高い位置にキープするようにしましょう。
適切なサイズのブラジャーを選ぶ
サイズの合わないブラジャーを着用していると、バストがしっかり固定されず、クーパー靱帯が傷ついて胸の形が崩れたり垂れたりする原因になります。バストの形が崩れると実際のサイズより小さく見えてしまうことがあるため、適切なサイズのブラジャーを着用しましょう。なお、バストサイズは年齢や生活習慣によって変化するため、1年に1回を目安に下着専門店で測り直すことをおすすめします。
無理なダイエットをしない
無理なダイエットをすると、女性ホルモンのバランスが乱れてバストダウンしてしまうことがあります。過度な食事制限によって栄養不足に陥ると、人間の身体は心臓や肺など、生命維持に関わる臓器へ優先的にエネルギーを送るようになります。
その結果、卵巣の働きが弱まり、女性ホルモンの分泌が低下してしまう可能性があるのです。バストダウンを防ぎつつ健康的に痩せるには、適切なカロリーコントロールで十分な栄養素をしっかり摂取するとともに、有酸素運動・無酸素運動を組み合わせておこなうことが大切です。
身体を温めて血行を促進する
冷たい飲み物を飲みすぎたり、お湯に浸からずシャワーだけで済ませたりすると、身体が冷えて血行不良を招きます。血行が悪くなると十分な栄養や酸素が胸まで行き届かず、バストアップを妨げてしまいます。
身体を温めるには、できるだけ毎日湯舟に浸かったり、運動習慣を取り入れたりして血流を促進させましょう。豆腐・納豆・かぼちゃ・にんじん・生姜・にんにくなど、身体を温める食べ物を食事に取り入れるのもおすすめです。
リンパマッサージをする
バストを支える小胸筋(しょうきょうきん)が凝っていると、胸が垂れやすくなってしまいます。マッサージをすることでリンパの流れを促しましょう。
<小胸筋をほぐすマッサージ方法>
- 鎖骨の下辺りにある小胸筋に、人差し指・中指・薬指をあてる
- 軽く押さえながら上方向に向かって引き上げ、ほぐす
マッサージは左右のバストを交互におこないましょう。事前にジェルやオイルを塗ると、摩擦が軽減されてマッサージしやすくなります。
女性ホルモン・バストアップに関してよくある質問
最後に、女性ホルモンやバストアップに関してよくある質問に回答していきます。
女性ホルモン注射をすればバストアップできる?
女性ホルモン注射によってバストのサイズアップは期待できますが、効果は一時的なものです。女性ホルモンの注射は、乳がんのリスクが高くなるなどの副作用があるため、一般的にはバストアップを目的として使用されることはありません。女性ホルモン補充療法(HRT)は、おもに更年期症状の軽減や骨粗しょう症の予防などを目的に適用されます。
バストアップクリームで胸は大きくなる?
バストアップクリームを使用しても、大幅なバストアップは期待できません。バストアップクリームには、バストを保湿する成分のほか、ハリや弾力アップが期待できる成分が配合されています。しかし、肌の奥まで浸透して作用する可能性は低いためです。
バストアップサプリメントは効果がある?
バストアップサプリメントは医薬品ではなく栄養補助食品のため、短期間で大きな変化を実感するのは難しいでしょう。バストアップを目的としたサプリメントには、女性ホルモンに似た働きをもつ大豆イソフラボンや、女性ホルモンの分泌を促すチェストツリー・プラセンタなどの成分が含まれています。
しかし、これらの有効成分はバストのみに作用するわけではありません。また、製品や摂取状況によっては健康被害が生じる恐れもあり、厚生労働省から注意喚起が出ています。できるだけサプリメントに頼らず、バランスの良い食事から栄養を摂取しましょう。
参考:日本医師会「プエラリア・ミリフィカを含む健康食品の使用にご注意を!」
まとめ
女性ホルモンはバストアップに深く関わっており、ホルモンの分泌を促すことでバストアップが期待できます。ホルモンバランスを整えるには、良質な睡眠や栄養バランスの良い食事、適度な運動を意識し、ストレスを適度に発散させることが大切です。また、大豆イソフラボンやボロン・タンパク質など、女性ホルモンの働きを助ける栄養素も毎日の食事に取り入れ、バストの成長を促しましょう。